デジタルヒューマニティーズチーム

デジタルヒューマニティーズチーム概要

人文学林のデジタルヒューマニティーズチーム(以下DHチーム)は、情報学分野で蓄積された知識と技術を活用し、人文学研究の新しい地平を切り拓くことを目指しています。本チームは、研究と教育の両面で情報技術と人文学の融合を推進し、学術的探求に必要な視座の提供と学生の成長を支援します。


教育への取り組み

人文学研究科の共通教育科目として開講される「人文学とデジタル技術」「デジタルヒューマニティーズ基礎」「デジタルヒューマニティーズ演習」の3科目は、情報技術の理論と実践を人文学研究に応用する具体的な方法を学べる内容です。以下の3つの科目は学問背景に情報学を含む人文学林所属教員が担当しています。

人文学とデジタル技術

この授業では、デジタル技術が人文学の研究をどのように変えるのか、そしてどんな新しい可能性が生まれるのかを探求していきます。基礎から応用までを段階的に学びながら、デジタル技術を使うことで何ができるのか、そして何が難しいのかを、みんなで一緒に考えていきましょう。また、昔からある研究方法とデジタル技術を、どうやって組み合わせるのが良いのかも、実際に体験しながら学んでいきます。

この授業を通して、皆さんがデジタル技術を自分の研究に活かし、新しいアプローチを見つけられるようになるのが目標です。授業は、5つの専攻の学生さんが参加しやすいように、オンデマンド形式で進めていきます。さらに、Slackなどのオンラインツールを使って、いつでも質問したり、みんなで意見交換したりできる環境も用意しています。

デジタルヒューマニティーズ基礎

2分でわかるデジタルヒューマニティーズ基礎・演習

人の行う活動や成果を長期的かつ広く深く観察していく人文学は、AIが急速に社会生活に入り込んできている今だからこそ必要な学問です。この講義では、なぜ人文学に携わることが世の中に必要不可欠なのか、そしてデジタル技術を人文学に適用していく必要があるのかを多面的に概説します。

本講義は、情報学基礎、著作権および利用許諾、AIモデルと脳の比較、史資料の種類、時空間データ、情報の構造化、画像およびテキストデータの可視化、市民科学、共同研究のシミュレーション、最先端で活躍するDHの手法を活用する研究者によるミニ講義など、人文学研究に対して情報学の知識と技術を応用するためのエッセンスを可能な限り盛り込んだ、やや理論重視の講義です。世界で行われているDH研究への入門と位置付けています。

また、DH特有の技術については、別途解説動画やウェブブラウザだけで動くプログラムを併用します。プログラムを作ったことがない人でも、自身のペースで動作の流れを理解しながら何度でも実行できるので、ご自身の研究に応用できる可能性が高まります。

最後に、講義の最終回には、事前に共同研究のシミュレーションを異分野の学生グループで行なった結果をクラスの中で発表していただきます。DH研究を進めるとしたら、これまでどんな研究があり、これからどのようなデータと手法が必要なのか、グループでコミュニケーションを取りながら少しずつ考えていきます。

デジタルヒューマニティーズ演習

実際のテキストや画像データを中心とした具体例を通じて、プログラミングや解析手法を実践的に学びながら、自分の目的に合わせて再構成した結果を学術的に解釈し、他者に説明する力を育みます。

人文学に携わる方には、これまでプログラミングを体験するきっかけがなかった方がほとんどだと思います。しかし、一からプログラムの勉強に取り組むのも大変です。そこで、ウェブブラウザで使える各種オンラインツールを使って、さまざまなDH関連のプログラムを実行しながら仕組みを少しずつ理解していただく機会を設けました。

また、全8回のうち最後の回は「DHスタートアップ相談会」として、DHを導入する際のさまざまな疑問をクラスでシェアし、解決します。自宅にある機器、自分に必要な資料はどこにあるのか、自分の研究データをどのように組み立てていけばいいのかなどのお悩みを聞き、アドバイスをもらうチャンスです。

DHスタートアップ相談会

これら3つの科目は、情報学と人文学の架け橋を築く学びを提供し、研究者や高度な専門職を目指す学生にとって有用な知識と技術を提供します。どの科目から受講しても問題ありません。
また、学際的な知見を醸成する高度副プログラム「デジタルヒューマニティーズ」科目群にも含まれています。

情報学と人文学の融合による新たな知の創出へ導くためのさまざまな学内外イベント企画および誘致

DHチームは、人文学研究において情報学の先進的な手法を取り入れることで、伝統的な研究方法を刷新し、新しい知識体系の構築を目指します。これにより、人文学研究が持つ潜在的な価値を一層高め、学術的および社会的な課題に応える新たな地平を切り拓いています。

そのため、講義のみに留まらず学内外のDHに関連するイベントの企画や誘致を行います。特に、大阪大学の豊中キャンパス(人文学研究科拠点)および箕面キャンパス(外国学専攻の拠点)は、最寄駅からのアクセスが良いためイベントの開催に適しています。

DHラボの管理と運営

DHチームは、情報学の成果を人文学研究に応用するための基盤として設置された「DHラボ」の管理と運営を担っています。このラボには大型ディスプレイ、ビデオ会議システム、iMacなどDHを支援するハードウェアと人文学研究で使用されるソフトウェアが整備されており、教員と学生が共同で学び合う場を提供しています。

他チームとの連携

DHチームは、インターンシップチーム人文学基礎チームと密接に連携し、学際的な学問領域を探求する環境を整えています。これにより、学生は学問的挑戦を支援されるだけでなく、多様なキャリアパスを見据えた成長を遂げることができます。


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